スマートフォンの動画撮影機能によって、自分のスイングを録画してチェックすることが手軽にできるようになった。練習場でも自分のスイングをチェックする人を時々見かけるが、中には少し残念な撮り方をしている人がいる。自分のスイングを動画で客観的に確認したいと思う人は少なからず意識が高いと思うので、私のチェックポイントが参考になれば幸い。
スイングの撮影にiPhoneを使う理由
スイングの撮影にiPhoneを使う一番の理由は、撮ったスイングをすぐに確認できるからである。GoProやハンディカムでもスイングは撮影できるし、映像の再生も可能だが、撮ったスイングを確認する際の操作性が非常に悪い。できれば練習中にチェックしてその場で修正したいが、2秒程度で終わってしまうスイングの特定のポイントで止めたり巻き戻したりして確認するのは、スマートフォンの大きな画面が圧倒的に使いやすい。
【ポイント1】撮影するアングル
スイングのチェックを目的として撮影する場合、基本的に以下の2箇所で撮影するようにしている。撮影する場所によって撮影アングルの選択肢が限られることもあるが、目的に沿って撮影するアングルを選択して欲しい。
飛球線後方から

飛球線とはターゲットとボールを結んで、さらにターゲットと反対方向に延長した直線と定義する。
飛球線後方からの撮影アングルは、スイングプレーンに対するクラブの動き方やスイング中のフェースの向きをチェックするのに適している。また、前後(飛球線に対して直角方向)の体の動き、つまりスイング中の上体の突っ込みや起き上がりを確認するのはこちらのアングルが向いている。練習場では飛球線後方のアングルから撮影することが多いと思う。このアングルは、インパクト以降の体やクラブの動きを確認しづらいことが欠点。
カメラを設置する場所は、飛球線と平行かつグリップの後方延長線上が望ましい。
正面から

正面からの撮影アングルは、体の動きをメインで確認するのに適している。前後の動きは確認しづらいが、バックスイングとフォロースルーの両方を確認できる。このアングルの欠点は、クラブの動きやフェースの向きは確認しづらいこと。
カメラを設置する場所は、ボールの位置で飛球線と直角に交わる延長線上を基準とする。
縦で撮るか、横で撮るか
縦位置で撮影する方が、より近くから撮影できるメリットがあるものの、縦位置で撮影した動画はスマホでしか観ることができないので、私は必ず横位置で撮影する。
いつも同じアングルで撮る

練習の成果や日々の違いを確認するためにも、比較できる状態でスイングを撮影することをお勧めする。そのためにできるだけいつも同じアングルで撮るようにしている。
上の画像はかなりトリミングしているが、撮影した時期は1年以上違うにも関わらず、打席の立ち位置も含めてカメラの位置もほぼ同じ場所で撮っているので、スイングの違いがよく分かる。
普段と違う練習場で撮影する時は、何度か試し撮りをして頭が画面の上から三分の1を少しはみ出すくらいに、足元は画面の下から三分の1を少しはみ出すくらいに画角を調整してから撮影する。

上の画像はスイングを再生する際の画面だが、上下がかなり見切れている。タップすれば上下のメニューなどは非表示になるが、それだと操作ができなくなる。操作しながらスイングをチェックするために頭上と足元の余白を十分に空ける構図にしている。
撮影する際にボールからiPhoneまでの距離を測っておいて、ベストな画角が見つかったら、いつもその距離にiPhoneを設置するといい。
1人で撮影する場合

撮影をお願いできる人がいない場合は、三脚を使ってiPhoneを固定して撮影することをお勧めする。テーブルや椅子にヘッドカバーなどを使ってiPhoneを無理やり立てて撮影している人を見かけるが、同じ画角で何度も撮影することは難しいと思う。
私が1人でスイングを撮影するときに使用している機材は以下のとおり。
最初は安い三脚を使っていたのだが、足の高さの調整の自由度が低かったり、グラグラして思い通りの画角に固定できなかったりで、結局信頼性の高い三脚を買いなおすことになった。重量感があって持ち運ぶには若干抵抗があるが、収納するとコンパクトにまとまる。
iPhoneは三脚に直接取り付けられないので、スマートフォンホルダーを三脚に取り付けてiPhoneを固定する。

スマートフォンホルダーもピンキリだが、ケースなどを装着して本体の厚みが増した状態で固定できる製品は意外と少ない。この製品はスマートフォンを挟み込むツメの部分が長く、私のように落下防止のベルトを背面に装着していてもガッチリと固定できる。
個人的にはバネでスマートフォンを挟み込むタイプよりも、ネジで締めるタイプの方が安心感があり、この製品は金属製なので耐久性の高さにも期待が持てる。
撮影をお願いする場合
スイングの撮影を誰かにお願いすると、棒立ちのままカメラを構える人が多い。カメラの高さをアドレス時のグリップ位置より低く構えるようにリクエストする。特に飛球線後方から撮影する場合は、視点が高いとクラブの軌道が正しいか判別が難しくなる。
また、いつも同じ人に撮影をお願いできればいいが、撮る人が変わると出来あがりも変わってしまうことが避けられないため、長期的なスイングのチェックには向いていない。
ゴルフ場でプレー中に撮影する場合
ゴルフ場でプレーしている時のスイングを撮るのは、練習場のマットのような目印になる線が無いためカメラを設置するのが難しい。しかも基本的に同じ場所からは1回しか打たないし、打った後は移動するため、三脚を使って自分で撮るのはやめた方が良い。カメラのアングルに関する注意事項を説明したうえで、同伴プレーヤーに撮影をお願いすることを強く推奨する。
【ポイント2】iPhoneの設定

グリッドを表示する
構図をできるだけ一定にするために、iPhoneの「設定」~「カメラ」で「グリッド」をオンにしておくことをお勧めする。グリッドを表示しても撮影した映像には映らない。オンにすると、ビデオだけでなくほかの撮影モード(写真やタイムラプス等)でもグリッドが表示される。
スローモーションで撮る
iPhoneの撮影モードは、動画だけでも「タイムラプス」「スロー」「ビデオ」の3つの撮影モードがあり、ゴルフスイングのチェックが目的なら撮影モードは「スロー」一択と考えていい。さらに、iPhoneのスロー撮影モードは120fpsと240fpsのいずれかを選択できるので、1秒間に240コマで撮影する240fpsを選択する。
コースでの撮影は、スイングだけでなくルーティンや間合いの確認を目的とするなら、撮影時間が長くデータサイズが大きくなるので「ビデオ」モードでの撮影も選択肢に入る。
長めに撮ってあとで編集する

iPhoneは録画した動画の編集が簡単なので、誰かに撮影をお願いする場合でも、1スイング30秒程度の撮影時間を基本として、撮った後に不要部分を削除する方が良い。
まとめ
iPhoneでスローモーション動画を撮影できるようになったのは、それほど昔のことではない。iPhoneで動画が撮影できるようになったのは2010年に発売されたiPhone4から、ゴルフのスイングを撮影するのに適したスローモーション撮影ができるようになった2013年のiPhone5sが実質的なスタートで、それ以前は家庭用のハンディカムを使って撮影していた。
その頃は練習の記録として保存する意味合いの方が強かったように思う。それが、iPhoneでスローモーション撮影ができるようになって、練習しながらスイングをチェックしてさらに修正を加えることが可能になった。感覚的には、写真の記録媒体がフイルムからデジタルに変わったくらいのインパクトだった。この環境が誰でも手に入れられるなんて、良い時代になったなぁと思う。
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