【徹底比較】Garmin(ガーミン)Approach S62とArccos(アーコス)Caddieの貢献度分析について

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ストロークごとの貢献度を算出するシステムとしてGarminと、主要な機能を比較表にまとめた。それぞれのレビューは、各記事を参照いただきたい。
なお、各項目の説明でどちらかに優位性がある場合は、優位な製品の解説を先に記述するようにしている。

比較項目

    Garmin Arccos
センサー ペアリング スマートウォッチ スマートフォンアプリ
付け替え
電池交換 ×
アプリ 無料 無料
ラウンド前 コース検索 10〜30秒 30秒〜1分以上
ティー選択 MensまたはLadies

FullBack〜Ladies
(コースにより異なる)

スタートホール選択 自動(ホールを選択) OUTまたはINを選択
ラウンド中 ショット検知 スマートウォッチ
(利き手と逆の腕)
スマートフォン
(ズボンの左前ポケット)
検知状況の確認 ×
ピンポジションの入力
スコアの入力 あり なし
ペナルティの入力 ホール単位 ショットに付与
(+1または+2)
ラウンドの中断 ×
ラウンド後 電池残量 70%程度
ショットの修正
パットの修正 ×
分析項目 ストローク単位 × ×
カテゴリ単位
コースマップ 2D 衛星写真
費用 イニシャル 本体:55,000円
センサー(3個):13,000円
センサー(14個):27,000円
ランニング 不要 年間99ドル

準備

センサー

ペアリング

Garminのセンサー(CT10)は、スマートウォッチ(Garmin Approach S62)とペアリングして使用する(他のGarminの機種ともペアリング可能)。ペアリングした際にセンサーを取り付けたクラブの番手の選択を求められる。
ショット検知は、スマートウォッチのGPSで位置を特定し、ボールを打った際の特有の衝撃をスマートウォッチで検出しているため、パッティングを除きセンサーは必須ではない。ただし、グリーン周りのショートアプローチでは正確なショット検知が難しいため、ショートアプローチで使用するクラブには、センサーを取り付けておくことが望ましい。私は、センサーを6つ購入してPt、SW、AW、PW、9I、3UTに取り付けている。
センサーを取り付けていないクラブでストロークした場合は、スマートウォッチがショットを検知すると画面が使用したクラブを選択する画面に切り替わる。万が一使用したクラブを記録し忘れてもショットした地点は記録されるため、ラウンド終了後にアプリのコースマップ上で使用したクラブを選択することも可能。

Arccos Caddieのセンサーは、スマートフォンアプリとペアリングして使用する。こちらもペアリングの際にセンサーを取り付けた番手の入力を求められるが、Garminと異なるのはパターに取り付けるセンサーは専用で、他のクラブに取り付けるセンサーとは製品自体が異なる。そしてGarminと大きく異なる点は、パターを含む8本以上のクラブにセンサーを取り付けたうえでアプリとペアリングされていなければ、Arccos Caddieのシステムを利用することができない。
Arccos CaddieはスマートフォンのGPSで位置を特定してマイクで打球音によりショット検知を行う。いずれかのクラブに取り付けたセンサーがONにならないとショット検知しないため、センサーを取り付けていないクラブを使用した場合は、ショット地点と使用したクラブの両方を手入力する必要がある。
いずれのセンサーも、ヘッドが上になっている状態(キャディバッグに収納された状態)で電源がOFFで、ヘッドが下になっている状態(アドレスした状態)で電源がONになる。自宅でバッグからクラブを取り出した状態にしておくと、電池の減りが早いかもしれない。

センサーの付け替え

いずれのセンサーも、一度ペアリングしたセンサーを他のクラブに取り付けることができる。その際は、一旦ペアリングを解除して、新たに取り付けたクラブとペアリングする。

センサーの電池交換

Garminのセンサーは電池交換が可能だが、Arccos Caddieのセンサーは電池交換ができない。
いずれの方式にも一長一短があり、どちらの方が優れているとは言えない。

Garminのセンサーはプレー中に蓋が無くなってしまい使用できなくなってしまうことがある。ある意味プレー中にセンサーが突然破損するとも言える。私の場合、7ラウンドのプレーで6個中2個のセンサーの蓋が無くなり、追加のセンサー購入を余儀なくされた。センサーの構造的な課題と言っても良いと思う。

Arccos Caddieのセンサーは、プレー中に破損することはないが、突然電池切れを起こし使えなくなってしまう。

アプリ

いずれのシステムも、スマートフォンに専用のアプリをインストールしておく必要がある。アプリは無料でダウンロードすることができる。

ラウンド開始

いずれもゴルフコースでプレーを開始する前にアプリを起動しておく必要がある。コース到着後すぐにラウンド開始してしまうと、ドライビングレンジやパッティンググリーンでの練習がショット検知されてしまうので、スタート直前にラウンドを開始することが望ましい。

コース検索

アプリを起動して、これからプレーするゴルフコースを選択する。
Garmin Approach S62は、スマートウォッチの画面でゴルフを選ぶとコース検索がスタートして、10秒から30秒程度でコース検索が完了する。

Arccos Caddieは、スマートフォンアプリを起動してコース検索が完了するまでに1分から数分程度かかる。
Garminのレベルならストレスは感じないが、スタート前は他の準備にも時間を使いたいので、Arccosはもっとスピーディーに検索して欲しいと感じる。

ティー選択

Arccos Caddieはコースごとに予め登録されたティーを選択することができる。

Garminはメンズとレディスの選択のみ。とはいえ、実際にショットした地点が記録されるはずなので、ティーを選択できることにどれほどメリットがあるのかは不明。

スタートホール設定

Garminはこれからプレーするホールを選択するので、INスタートなら10番ホールを選択すれば良い。ショットガンスタートにも対応できる。

Arccos CaddieはOUTスタートかINスタートを選択するため、途中のホールからプレーする場合は、どちらかでスタートしてからプレーするホールを改めて選択する。

ラウンド中

スタイル

Garmin Approach S62はスマートウォッチなので、AppleWatchをスタート前に外して、その腕に装着すれば良い。利き腕とは逆の腕(右打ちなら左腕)に装着する必要があるが、プレー中に邪魔になることはない。

Arccos Caddieはスマートフォンをズボンの左前ポケットに入れてプレーすることが推奨されている。スイングするのに邪魔なので、スマホ用のベルトポーチを使っているが、ダサくてカッコ悪いので別の検知方法を早く提供して欲しい。女性ゴルファーもこれでは使いにくいのではないか。
スマートフォンの代わりにApple Watchでショット検知することができるが、新品のApple Watchでも18ホールのプレーが終わるまで電池が持たないので、実用レベルとは言えない。
Arccos Caddie Linkという専用の小型の機器を使う方法もあるが、日本では機器がまだ販売されていない。

検知状況の確認

Arccos Caddieは、ショット検知の結果がリアルタイムに反映されるため、プレー中でもスマートフォンアプリの画面でプレー履歴を確認することができる。

Garmin Approach S62では、ショット検知の結果がスマートウォッチ内に蓄積されているため、プレー中にスマートフォンアプリを開いても、何も見ることができない。スマートウォッチで確認できるのは、各ホールのスコアとパット数、ペナルティ数と後述のピンポジションのみで、それ以外はラウンド終了処理を行うまで一切確認できない。

ピンポジションの入力

Arccos Caddieはスマートフォンアプリのコースマップでピンポジションを入力する。ラウンド終了後でもピンポジションを編集できるため、プレー中にピンポジションの入力をする必要はない。私の所属コースでは印刷されたピンシートを持ち帰ることができるので、後でまとめて編集できるのはありがたい。

Garmin Approach S62は、スマートウォッチの画面でピンポジションを入力する。Garminのスマートウォッチのゴルフ機能は、GPSナビの機能に主眼を置いているため、ピンポジションの入力はプレー中を前提としている。
ラウンド終了処理を行う前であれば、ピンポジションの修正は可能だが、使い勝手はあまり良くないので、そのホールをプレーしている時にピンポジションを入力する方が良い。ラウンド終了処理を済ませてしまうと、ピンポジションはスマートフォンアプリを含め一切編集することができない(コースマップ上で確認することもできない)ので、この点は大いに不満。

スコアの入力

Arccos Caddieはスコアを入力する必要が無い。検知したショット数やパット数がホールごとに合計されスコアとして表示される。誤検知や検知漏れがあればスコアに反映される。プレー後に誤検知を削除したり、検知漏れのショットを手入力で追加することにより、正確なスコアに修正することを前提としている。

Garminはグリーンに上がるとスマートウォッチの画面がスコア入力画面に切り替わる。入力項目はホールのスコアとパット数、ペナルティ数の3つ。スコア入力画面で入力したストローク数と検知したショットの回数は整合性を取っていないため、プレー中のスコアを正確に確認できる反面、検知結果を正確に記録しないまま分析されてしまう。

ペナルティの入力

ペナルティはどちらのシステムも一応入力できるが、分析結果に正しく反映されているのか疑問を感じる。
Arccos Caddieはスマートフォンアプリのコースマップを開いて、ペナルティが発生したショットを打った地点のデータに罰打を追加する。正直言ってプレー中に入力するのはお勧めできないし、そういった操作を想定したシステムにはなっていない。
OBは1打罰なので、正確に入力するなら手動でショット地点をマップに登録してペナルティを1打付けるべきだが、マップ上の同じ位置にショット地点を手動で登録するのは至難の業で、OBを2打罰として済ませてしまっている。さらに追加できる罰打は+1か+2しか選べないため、同じ場所から2回以上OBを打った場合に対応できない。

Garminではプレー中のペナルティ入力を、ショット検知結果のいずれかに紐付けるという考え方がなく、プレーしたホールで受けたペナルティの合計を入力するだけにとどまる。ペナルティがショット検知結果と紐づいていないということは、貢献度の分析にも加味されていないということになるため、システムの改良を期待したい。

ラウンドの中断

Garmin Approach S62はハーフ休憩等でラウンドを中断することができ、スマートウォッチの電池の消耗を抑えることができる。電池の消耗以外の面でも、午後のスタート前に練習ストロークをする場合は、誤検知を未然に防ぐためラウンドを中断しておいた方が良い。

Arccos Caddieはプレーを中断することができないため、ハーフ休憩中もスマートフォンの電池を消費し続ける。何らかの要因で意図せずラウンドが中断してしまった場合、ラウンドを再開する機能は表示されているものの、正常にラウンドを再開できないことが多い。

ラウンド後

電池残量

Garmin Approach S62は、前日夜にフル充電しておけば、プレー直前に装着して1ラウンドのプレーが終了した時点で75%前後の電池残量がある。1.5ラウンドや2ラウンドも余裕で対応できそうだ。
Arccos Caddieはスマートフォン次第だが、購入して2年以内の端末であれば18ホールのプレーには問題ないと思う。スマートフォンはゴルフにだけ使用するデバイスではないため、帰途のことを考慮すると充電用のバッテリーを用意しておきたい。

データ修正

ショット

Arccos Caddie
Garmin

いずれもショットのデータを修正する際は、スマートフォンアプリのコースマップ上で編集する。
Arccos Caddieはプレー中でも修正が可能だが、Garminはスマートウォッチでラウンド終了処理を行わないとスマートフォンアプリにデータが表示されないため、編集することもできない。
Garminは編集した内容を保存する際にエラーが発生して、修正内容が反映できないことが多い。

パット

Arccos Caddieではコースマップのグリーンをタップすると拡大表示され、ピンポジションとパッティングした地点を編集することができる。地点を正確に修正することは困難かもしれないが、歩測した距離に合致するようにショット地点を修正するだけで、貢献度の算出は問題なく行える。

Garminではグリーン上のプレー地点をマップに表示できないため、編集することもできない。ホールごとに検知したショットとパットのリストが表示されるが、パッティングの検知結果は削除することができない。2パットでホールアウトしたホールでパッティングストロークが5回検知されていても、不要な検知結果を削除できないし、それ以前にどれが正規のストロークなのか判定することもできない。
Garminでグリーン上のプレーがブラックボックス化されていることは、ティーショットを除く貢献度分析の正確性に悪い影響しか与えない。

分析項目

それぞれのスマートフォンアプリで知ることができる分析項目について比較する。
なお、1回のラウンドで両方のセンサーを取り付けてプレーすることができないため、分析結果の正確性については言及しない。
Arccos Caddieの方が分析項目が圧倒的に多い。

ストロークごとの貢献度

いずれのアプリもストロークごとの貢献度、つまり1回のストロークがスコアにどれだけ貢献したか、もしくは足を引っ張ったかを知ることはできない。

カテゴリごとの貢献度

Arccos Caddieでは「ドライビング」「アプローチ」「ショートゲーム」「パッティング」、Garmin Golfでは「ドライブ」「アプローチ」「チップ」「パット」のそれぞれ4つにカテゴライズして分析された貢献度を表示してくれる。
いずれのサービスも「アプローチ」は、ショートホールのティーショットを含む50ヤード以上の残り距離でストロークしたショットを対象としているが、これは最も飛ばない番手(例えばSWであれば90ヤード)の距離でゴルファーが個々に設定できると分かりやすいと思う。

費用

機器を購入して4年で買い替える想定でトータルの費用を算出すると、Arccos Caddieが60,000円でGarminは68,000円になる。Arccos Caddieはサブスクリプション制のため、5年以上使用するならGarminの方が安くなる。内訳は以下のとおり。

イニシャルコスト

Arccos Caddieは、パター専用を含む14個のセンサーのセット(第3世代)がAmazonで27,000円程度で購入できる。
Garmin Approach S62は、スマートウォッチが55,000円程度、センサーの3個セットが13,000円程度でいずれもAmazonで購入できる。すべてのクラブでショット検知を自動で行いたい場合は、36,000円程度で14個のセンサーを購入する必要がある。

ランニングコスト

Garminは機器を購入してしまえば、追加の費用は発生しない。
Arccos Caddieは、年間99ドルのサブスクリプションが発生する。センサーを購入した初年度は無料(センサーの価格に含まれる)で利用できるが、長く使い続けるほどトータルの費用は高くなる。
1ドル110円で換算すると、年間約11,000円払い続けることになり、月イチゴルファーだと手が出しにくい価格設定だと感じる。

まとめ

貢献度分析という観点で比較すると、Arccos Caddieに軍配が上がる。貢献度分析を目的としてサービスを提供しているArccosと、GPSナビの付加機能として貢献度分析のサービスを提供しているGarminを比較するのは酷な気もするが、できることや分かることには圧倒的な差がある。
Arccos Caddieは、ショット検知にスマートフォンを使わない方法が提供されれば、使い勝手はかなり改善されるはず。欲を言えばサブスクリプションも、もう少し価格を抑えないと使う人が増えないと思う。年間99ドルも払わせるなら、電池交換もできないセンサーは無料で配って欲しい。
Garminは、GPSナビの機能だけでなく貢献度分析にもっと注力してほしい。少なくともパッティングを含めてすべての検知データをユーザーが修正ができないと、貢献度分析のデータとしては使い物にならない。データは収集できているはずなので、利用者が修正できる画面を用意して権限を付与すれば、機器を改良することなくシステム改修で対応できるはず。分析項目を増やすことも同様。ショット検知の仕組みはArccos Caddieより優れているので、本当にもったいない。

貢献度分析の認知度はまだそれほど高くはないが、ゴルファーが自分のスキルを正しく評価するための指標として、使うことが当たり前の世界になるために、両サービスにはさらなるブラッシュアップを期待する。

コメント

  1. […] 【徹底比較】Garmin(ガーミン)Approach S62とArccos(アーコス)Caddieの貢献度分析についてストロークごとの貢献度を算出するシステムとしてGarminと、主要な機能を比較表にまとめた。それ […]

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